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2026.02.20生成AI活用公益系法人

Google Workspace × Geminiによる AI文書管理システムの提案

お客様について

公益系法人のお客様です。業務の性質上、月に数百件規模の書類が発生し、法令等で定められた保存年数に基づいて過去数十年分の書類を保管する必要があります。

お客様の課題

日々発生する大量の書類は、原本をキャビネットで保管するという運用を続けていました。この紙ベースの管理には、いくつかの深刻な課題がありました。

まず、検索性の低さです。過去の書類を探す際、キャビネットを一つひとつ確認する必要があり、目的の書類にたどり着くまでに多大な時間を要していました。

次に、デジタル化の中途半端さです。複合機でスキャンしてPDF化する取り組みは始めていたものの、スキャナーが自動で付与する「scan_001.pdf」のような機械的なファイル名のまま保存されていました。結果として、PDFになってはいるものの検索できない——デジタル化の恩恵を受けられていない状態でした。

さらに、BCP(事業継続計画)の観点からも、紙の原本のみに依存する管理体制にはリスクがありました。災害や事故で原本が損失した場合、業務に必要な書類を復元する手段がない状態です。

提案内容

Google Workspaceの導入と同時に、Geminiを中核としたAI文書管理の仕組みを提案しました。既存の複合機のスキャン機能をそのまま活用し、スキャン後の作業をAIで自動化するアプローチです。

スキャンから保管までの自動化フロー

既存の複合機でスキャンしたPDFをGoogle Driveの所定フォルダにアップロードすると、Google Apps Scriptをトリガーとした自動処理が開始されます。

Gemini APIがPDFの内容を分析し、以下の処理を自動で行います。

  • 文書の種類や内容に基づいた適切なファイル名へのリネーム(例:「scan_001.pdf」→「2026年度_第3回理事会議事録.pdf」)
  • 文書の内容から抽出したタグの付与(例:「理事会」「議事録」「2026年度」)
  • 文書の要約の自動生成
  • 保存先フォルダのレコメンド

担当者はレコメンドされた内容を確認し、承認するだけで適切なフォルダに自動格納されます。必要に応じてGoogle Workspaceのワークフロー機能やAppSheetを活用し、承認プロセスを組織のルールに合わせてカスタマイズすることも可能です。

スプレッドシートによる文書台帳と検索基盤

処理されたすべての文書について、ファイル名・タグ・要約・保存先URL・処理日時をスプレッドシートに自動で記録します。このスプレッドシートが文書台帳として機能し、タグでのフィルタリング、要約文からのキーワード検索、年度や文書種別での絞り込みなど、多角的な検索が可能になります。

NotebookLMによる自然言語検索

さらに、文書台帳のスプレッドシートをNotebookLMに読み込ませることで、「去年の理事会で議論された予算関連の内容は?」「過去3年間の監査報告書の指摘事項をまとめて」といった自然言語での問い合わせが可能になります。膨大な書類の中から、文脈を理解した上で必要な情報を引き出せる環境を実現します。

Google Workspaceエコシステムで完結

このシステムの最大の特徴は、Google Workspace・Gemini・Google Apps Script・NotebookLMというGoogleのエコシステム内で完結する点です。新たな専用ツールを導入する必要がなく、学習コストが低い。既存のGoogleアカウントやDriveの権限管理をそのまま活用できるため、セキュリティ面でも安心です。

なお、紙の原本保管は従来通り継続します。本システムはあくまでデジタルバックアップと検索基盤としての位置づけであり、原本管理の運用を変えることなく、検索性とBCP対策を大幅に向上させるものです。

System Overview

複合機スキャン
既存設備を活用
Google Drive
PDF アップロード
GAS + Gemini
自動分析・タグ付け
スプレッドシート
タグ・要約・URL台帳
NotebookLM
自然言語で文書検索

期待される効果

  • スキャンしてDriveにアップロードするだけで、リネーム・タグ付け・格納までほぼ自動で完了する
  • タグ・要約・自然言語による多角的な文書検索が可能になり、書類探しの時間を大幅に削減
  • デジタルバックアップにより、災害時のBCP対策としても機能する
  • Google Workspaceのエコシステム内で完結するため、追加ツールの導入コスト・学習コストを抑えられる
  • 将来的にスキャナー専用機の新規導入により、さらなる効率化も視野に入れられる